20歳と38度線

とある大学生の日常とエッセイ。ソウル大学交換留学、彼氏は韓国陸軍軍人。K-popと政治問題だけでは語れない朝鮮半島を書いています。

みん会第8回活動報告〜ナヌムの家(前編)

 

『20歳と38度線』ではソウルの日韓学生会みんなで行ってみよう会の活動報告を行っています。以下、現地メンバーからのレポートです。今回は内容が濃かったようで、前後編に分けています。

 今回のみん会では、ナヌムの家を訪問しました。ナヌムの家は 太平洋戦争末期、日本帝国により性的犠牲を強いられた生存日本軍’慰安婦‘ハルモニ(おばあさん)たちが集まって暮らしている生活の基盤です。<ナヌムの家>に住んでいる日本軍’慰安婦‘ハルモニたちは毎週ハングルの授業と共に絵画授業を通して学んだ絵で、数回にわたり韓国内外での絵画の展示会を開催しています。そのことで過去の日帝の日本軍‘慰安婦’に対する蛮行の真相を歴史に残していく活動をしています。

<ナヌムの家>は日本軍’慰安婦’歴史館を通じて長く子孫に日本軍’慰安婦‘被害者問題に対する正しい歴史観を確立するために率先している歴史館の一つです。現在、生存されている方は39人、ナヌムの家には10人のハルモ二が住んでおられます。(2017年3月現在)

今回は運が良く、特別に3名のハルモニと直接会ってお話を聞いた後、歴史館で解説を聞き、みんなで意見を共有しました。

 

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ひとり一人の感想

 

Aさん

私が8月のみん会で「戦争と女性の博物館」と水曜デモに行ってきました。そこでハルモニ一人一人の経験とかはパネルでみたことがあって、日本が謝罪したって言ってて、韓国は誠意がある謝罪がまだされてないと言ってたことが疑問に残ってました。それって何なんだろうってずっと思ってて。何でそんな対立が起きてるかなって思ってたんですけど、今日ここにきて日本に対する7つの要求条件を見てすごく納得して。それが今日ここに来て良かったと思った一番の理由です。パネルで見てたハルモニたちの経験を今日実際に会って、結構自発的に話してもらえて。そんなに話してもらえると思ってなかったからすごく貴重な経験だったなと思いました。

 

Bさん

私が今回一番思い出に残ったのはハルモニ達と話したことでした。文章や映像でしか見たことのないハルモニ達が目の前にいて、話したり握手したり、私たちのように好き嫌いがあったりという生きている人間であることを感じました。歴史用語でしか見えなかった慰安婦っていうのが自分の中学生15歳だった頃の記憶とも重なっていわゆる慰安婦という言葉が今までよりも実感が沸いたし、何か温度を持った存在になった気がします。

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慰安婦問題についてのビデオ鑑賞中


Cさん

今回ここに来て一番私の記憶に残ったのが、昭和天皇に銃を向けてる絵ですね。韓国に留学に来てからは天皇について、特に戦争責任に関して日本と韓国の人たちで認識の仕方が全然違うというのはもう感じたことなんですけど。やっぱりここに来てその絵を見ると韓国・朝鮮半島の人達にとってその天皇というのは戦争責任、植民地支配の最高権力者だったからそこ、今になっても恨むと言うか責任があると考えることは理解できます。だけど、やっぱりずっと日本で育ってきて教育を受けてきた自分にとってすっと入ってこなくて、何かひっかかっちゃうっていうのがあって。多分、私は韓国に来ているからまだ韓国の植民地支配を勉強してるからまだマシと言うか、全然韓国のこととか植民地支配とかを日本にずっといて考えていない人だったらもっと韓国の考え方を理解できない人達がたくさんいるだろうと、そこのギャップは大きいかなっていうのをまた改めて感じました。あと、私からするとそのハルモニの方たちのお話とかを聞いたりしていても、やっぱり慰安婦問題というのは日本だと歴史修正主義の人とか政府とかの見解とか、それに従って報道するマスコミの意見ばかりを聞いてると慰安婦の問題は極端に言うとウソを言っているみたいなところから始まって否定する意見というのが多い気がします。でもなんかこういうところに来てもうちょっと踏み込んで韓国の人たちから話を聞いたりすると、どうも私からすると否定するという発想にはならないかな。でもやっぱり日本では慰安婦問題を否定する意見が結構多いっていうギャップもなんでかなって思う。 プライドと言うか日本はこういうことをしてこなかったという結論に、なんとしてでも持っていきたい、実態がどうであれ、そこに持って行きたいという力が働いているかなって思います。その点で今日ここに来る機会があった者の一人として発信していく責任があるかなと思っています。

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責任者を処罰せよという題の作品ー絵の中央に目隠しをされて立っている男性が昭和天皇


Dさん

今まであまり知らなかったこともあって、漠然と慰安婦問題は朝鮮半島か日本かすごい近い近隣だけで起こったことだと思ってたんですけど、今日特に第二資料館(ハルモニひとり一人について展示している資料館)の方を見て、実際は朝鮮半島から遠い人だと満州とかシンガポールまで連れて行かれた人もいたことを(知りました)。戦後なかなか帰れない人がいて、中には朝鮮半島に戻ることができないまま亡くなられている方の話を聞いて。戦争当時に起こったことだけでなくてその人の人生全体を通してちゃんとを考えなければいけないのかなと思いました。あと、さっきの話とめちゃかぶるんですけど私が慰安婦の問題が十分問題になっていること自覚してるつもりなんですけど、それをどう解決していくかというのはを考える時にハルモニ達が言っている責任者の処罰とか政府からの賠償金の支払いを求めているのを見て、それが日本政府側からするとすごく難しいことなんだろうなというのは感じました。責任者というの誰と考えるのかっていうのが一番難しくて、それを昭和天皇っていう風に絵で表現してると見たときに昭和天皇で考えるんだなというのが一番の驚きで。自分は日本で歴史の教育を受けてきて、あまり天皇に戦争責任があるっていう実感を持ってなかったから…確かによく考えれば最高責任者は天皇天皇に責任があると思うんですけど。今の憲法上は天皇は政治的な発言ができると思えないから、もし韓国の方が天皇からの謝罪を求めているとかとなったら、それは本当に難しいなって思います。賠償問題についてもすでに日本側は解決済みと思っている以上、政府からの賠償金という形でお金を支払うことはできないからそれ以外の方法でやろうとどんなに日本が努力しても受け取ってもらえないと思うとなかなか解決が難しい問題だなと思いました。

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이옥선ハルモニと


Eさん

慰安婦問題に関して大学でちょっと勉強したことがあるんですけど、それにさらに上乗せで今日、本とか先生の授業とかだけではで分からないことを直接的に体験できたというのは自分の中で韓国留学してよかったと思えることですね。ハルモニに直接会って話を直接聞いたり、展示とか色々学んで自分で思ったのは、日本において慰安婦問題など植民地関連の問題についてよく知っている人が少ないけれど、韓国の人も実際どのくらい知ってるのかなということ。たまにツイッターとかで慰安婦のこととか韓国のこととか韓国人についてのツイートとかを見たりします。自分が見てきた中で、(慰安婦について)知ってる人も多いと思うんですけど、日本よりほんまにちゃんと本質を理解できているって言う人が何人いるのかというのを考えた時に、そこがやっぱりちゃんと理解できてない人が多いから結局今政府間でこういう解決済みだの違うだの問題になっちゃうのかなというのを考えさせられるました。

 

Fさん

僕今聞いてて結構びっくりしたのは僕個人的には天皇制とか天皇そういうの大嫌いなんで全く違和感はなくて、当たり前かなって感じなんですけど、まあそれは別にさっき皆さんの感想を聞いてて思ったことで…。僕ずっとフェミニズムを勉強しててこういう問題について考えるときにフェミニズムだと自分がどういう立ち位置にいて誰に向かってと発言するのかというのがすごく大切なんですね。同じ意見はどれくらい理論がちゃんとしていても自分がどういう立場からそれを言ってるのかてのはすごく重要で、誰に向かっていているのかが重要なので、僕は日本人男性としてある問題というのを見るときに自分がどういう意見を持つのかってのは実際にその慰安婦として被害にあった人たちと話してみないとちゃんとはっきりした立場を持てないと思って。今回実際(ハルモニの方たちと)話してみて自分が始めにこんな感じと話されるのかなと思ってたことをお話して下さったので、その点では前よりももうちょっと自信を持って自分がこの慰安婦問題に対して意見を持てるようになったのかなという感じがします。あとは『海を渡る「慰安婦」問題』っていう本が出てて、そこでテッサ・モーリス‐スズキさんと言う学者さんが言ってる「連帯」という話で、慰安婦問題に対して例えば僕は責任ないじゃないですか。別にシステムの構築に関わってってないし、制度を利用してもいないし、生まれてもいないし。でも、何に責任があるかって言ったら、今ハルモニ達が満足できるような対応を日本政府がしてないっていうことに関しては、僕は参政権があるし、今の政府が行っていることをでハルモニ達を満足をさせられないっていうのは僕にも責任がある。参政権を持っている人は特に責任があることなので、よくこういうハルモニ達が日本で講演会とかをした時に、日本人の若い子とかが泣いて謝ったりする話をよくするんですけど、それはちょっと違うのかなっていう感じはします。慰安婦制度自体に責任はないけど、今その問題が長引いているってていうことに対しては責任があるというのはちょっと考えてみるべきかなと思います。

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ハルモニが日本政府に対して要求し続けている「7つの要求条件」


Gさん

今回ナヌムの家訪問は2回目で、1回目来たときよりも理解が深まったんですけど、来るたんびに、慰安婦問題に聞くたんびに、本当に複雑な問題だなというのはつくづく思いますね。女性の人権の問題でもあるし、歴史問題でもあるし、政治の問題も絡んでるしなと本当に解決は難しいんだなって感じます。さっき女性一人の個人としての含めて見るべきと言ってくれたんですけど、慰安婦被害者の女性は周囲から視線を気にしたり家族に見せいる顔がなくて家族と縁を切ったり、教育を受けられずにずっと貧しい生活を強いられたり、結婚も結構諦めている方が多いのを見ると、現在進行形でずっと続いている問題だなって思います。歴史的の面から見ると、日韓の間で合意とか談話、例えば河野談話などとかもあったんですけど、まだ満足する成果が出せないのは日本が政党同士で意見も違うし、国全体してのコンセンサスが足りないなというのは思ってて。しかも今の総理大臣である安倍首相は歴史修正主義の傾向を持っている人だし、岸信介というA級戦犯の孫でもあるし、歴史問題に直接向き合える政府が作られてないなっていうのは思ってます。どういう政府が誕生すればいいのかは皆さんに任せます(笑)。それと、私個人的に日本がどうこの問題を解決するかばかり考えている気がしてて、解決できるできないを越して歴史精算には終わりがないみたいなそういう意識が日本政府や日本人には足りないような印象を受けますね。最後に、最近授業で習ったことなんですけど、安倍政権が歴史修正主義だとよく聞くじゃないですか。でも2015年の安倍談話周辺からは安倍政権がもっと国際主義的な立場に方向転換したらしいんですよ。それで国際主義立場というのが国際秩序、国際的に共有されている社会的なルールに従うっていう目標を掲げている主義なんですけどその主義にのっとって安倍政権がこれから歴史修正主義よりは日本はこういう国際法的な立場で、国際ルールを順守している政党だから韓国は何で言ってくるんだっていう論理で攻めるんですね。2018年にあった韓国の大法院(韓国の最高裁)の強制労働関連の判決をしたときも安倍政権は”国際ルールに従わない韓国”という論理で非難してきた例があります。今歴史修正主義よりずるがしこい方法で日本が意見を発しているという感じがしますし、韓国も単純に日本=歴史修正主義という風に思い込みが強いすぎる傾向はあると思います。韓国にとって日本政府の思惑を冷静に判断する能力が必要ですし、より徹底的な資料調査や研究をもっと韓国はしなければならないのではないかと思っています。本当に難しいなと思います。

 (後編へ続く)

 

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